前回、SDGsについてまとめましたが、SDGsの前身であるMDGsをご存知ですか?今流行りのSDGSはMDGsを基に作成されています。
MDGsとは?
MDGs(Millennium Development Goals)・・・ミレニアム開発目標のことを指しています。
ミレニアムとは、1000年区切りの節目の年を表しています。
この、MDGsが開かれたのが、2000年の9月にニューヨークにて開催された国連ミレニアム・サミットで「国連ミレニアム宣言」として採択されたことから、この名前がついています。
また、1990年台に開催した国際会議・サミットで採択された国際開発目標もMDGsには組み込まれたおり、国連ミレニアム宣言と、国際開発目標がフュージョンして一つの枠組みとして決められたのがMDGs(ミレニアム開発目標)です。
MDGsの内容
MDGsは8つのゴールがあり、先進国が中心となって、途上国の問題を解決するためにつくった目標でした。
MDGsは2000年に採択されて、2015年を期限として定められています。
1つずつ解説します。
極度の貧困と飢餓の撲滅
1-A 1990年と比較して1日の収入が1米ドル未満の人口比率を2015年までに半減させる。
1-B 女性、若者を含むすべての人々に、完全(働く意思と能力を持っている人が適正な賃金で雇用される状態)かつ生産的な雇用、そしてディーセント・ワーク(適切な仕事)の提供を実現する。
1-C 1990年と比較して飢餓に苦しむ人口の割合を2015年までに半減させる。
普遍的初等教育の達成
2-A 2015年までに、世界中のすべての子どもが男女の区別なく初等教育の全課程を修了できるようにする。
ジェンダーの平等の推進と女性の地位向上
3-A 2005年までに初等・中等教育における男女格差の解消を達成し、2015年までにすべての教育レベルにおける男女格差を解消する。
乳幼児死亡率の削滅
4-A 1990年と比較して5歳未満児の死亡率を2015年までに3分の1に削減させる。
妊産婦の健康の改善
5-A 1990年と比較して妊産婦の死亡率を2015年までに4分の1に削減させる。
5-B 2015年までにリプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)への普遍的アクセス(必要とする人が利用できる機会を有する状態)を実現する。
HIV/エイズ、マラリアその他の疾病の蔓延防止
6-A HIV/エイズの蔓延を2015年までに阻止し、その後減少させる。
6-B 2010年までにHIV/エイズの治療への普遍的アクセスを実現する。
6-C マラリアおよびその他の主要な疾病の蔓延を2015年までに阻止し、 その後減少させる。
環境の持続可能性の確保
7-A 持続可能な開発の原則を各国の政策や戦略に反映させ、環境資源の喪失を阻止し、回復を図る。
7-B 生物多様性の損失を2010年までに有意(確実)に減少させ、その後も継続的に減少させ続ける。
7-C 2015年までに、安全な飲料水と基礎的な衛生設備を継続的に利用できない人々の割合を半減させる。
7-D 2020年までに、最低1億人のスラム居住者の生活を大幅に改善する。
開発のためのグローバル・パートナーシップの推進
8-A 開放的で、ルールに基づいた、予測可能でかつ差別のない貿易および金融システムのさらなる構築を推進する。
8-B 後発開発途上国(LDC)の特別なニーズに取り組む。
8-C 内陸国および小島嶼開発途上国の特別なニーズに取り組む。
8-D 国内および国際的な措置を通じて、開発途上国の債務問題に包括的に取り組み、債務を長期的に持続可能なものとする。
8-E 製薬会社と協力し、開発途上国において、人々が必須の医薬品を安価に入手・利用できるようにする。
8-F 民間セクターと協力し、特に情報・通信における新技術による利益が得られるようにする。
SDGsと似ている部分が多いですね。このキャッチーなロゴを使うあたりとかもすごく似ています笑
MDGsが達成したことと、残された課題。それらを引き継いだSDGs
MDGsは2015年が期限だったので既に結果も報告されていて達成と課題の両方があるのでそれぞれの状況について解説します。
極度の貧困と飢餓の撲滅
●達成
・極度の貧困(1日1.25米ドル未満で生活)で暮らす人の数は、19億人(1990年)から8億3,600万人(2015年)と、半数以下に減少
・途上国や地域における栄養不良の人々の割合は23.3%(1990-92年)から12.9%(2014-16年)と、ほぼ半減の見込み
・5歳未満児のうち低体重の子どもの割合は、1990年から2015年の間にほぼ半減
●課題
・極度の貧困にいる人々の約80%が、南アジアもしくはサハラ以南アフリカで暮らしている
・女性は男性と比べて、有給の仕事を手に入れ難く、より賃金が低く、土地などの資産の入手が限られていることから、貧困に陥りやすい
・低体重児の90%近くが、南アジアもしくはサハラ以南アフリカで暮らす子どもたち
普遍的初等教育の達成
●達成
・途上国の初等教育純就学率は80%(1990年)から91%(2015年)に増加
・学校に通っていない初等教育学齢期の子どもの数は、1億人(2000年)から5,700万人(2015年)に減少
・若者(15〜24歳)の識字率は、83%(1990年)から91%(2015年)に向上
●課題
・小学校に通っていない5,700万人のうち、3,300万人がサハラ以南のアフリカで暮らしている。また、全体の半数以上を占める55%が女の子。
・途上国では、最貧層世帯(下記20%)の子どもは、最富裕層世帯(上位20%)の子どもに比べて、初等教育課程を修了していない割合が5倍以上
ジェンダーの平等の推進と女性の地位向上
●達成
・途上国の3分の2以上で、初等教育の就学率において男女の格差が解消
●課題
・初等教育の就学率に関する男女の格差が解消していない途上国のうち、56%がサハラ以南アフリカの国々
乳幼児死亡率の削滅
●達成
・5歳未満児年間死亡数は1,270万人(1990年)から590万人(2015年)と、53%減少
●課題
・毎日1万6,000人の5歳未満児が命を落としており、その大半は予防可能な病気が原因
・年間の5歳未満児死亡数(2015年)を地域別に見ると、サハラ以南アフリカ地域が最多の300万人、次いで南アジアが180万人
妊産婦の健康の改善
●達成
・妊産婦死亡は、10万人あたり380人(1990年)から210人(2013年)に減少(死亡率は45%減少)
・熟練した医療従事者の立会いの下での出産は、59%(1990年)から71%(2014年)に増加
●課題
・妊産婦死亡はサハラ以南アフリカと南アジアに集中しており、2013年における世界全体の数の86%を占める
・熟練した医療従事者の立会いによる出産は地域格差が大きく、東アジアの100%に比べ、サハラ以南アフリカと南アジアは52%に留まる
HIV/エイズ、マラリアその他の疾病の蔓延防止
●達成
・HIVの新たな感染は、推定350万人(2000年)から210万人(2013年)と、約40%減少
・2000年〜2015年の間に推定620万人以上の命がマラリアから、2000〜2013年の間に推定3,700万人の命が結核から守られた
●課題
・新規にHIVに感染した若者(15〜19歳)のうち、3分の2は女性
・15〜24歳の男女が有する、HIVに関する正しい知識は、経済状況や地域によって格差があり、経済的に貧しく、また農村部で暮らす若者のほうが、正しい知識を得にくい状況にある
環境の持続可能性の確保
●達成
・改善された水源から安全な飲料水を入手できる人の割合は、76%(1990年)から91%(2015年)に向上。1990年以降、26億人が新たに利用できるようになった
・2015年、世界の人口の68%が改善された衛生設備を利用している。1990年以降、21億人が新たに利用できるようになった
●課題
・地表水を使う人の90%が農村部で暮らしている
・貧富の差がトイレの利用率の差と関連しており、辺地に暮らす人や社会から疎外されている人ほど、トイレが利用できない
開発のためのグローバル・パートナーシップの推進
●達成
・インターネットの普及率は、世界の人口のわずか6%余(2000年)から43%(2015年)まで増加。新たに32億人がインターネットの情報網につながることができた
・2015年、世界の人口の95%が、携帯電話の通話可能域で暮らしている
●課題
・インターネットの普及にも格差が生じており、先進国の82%に対し、途上国では人口の3分の1にとどまる。
MDGsとSDGsの違い
達成できたことに関しては、素晴らしいですが、一方で課題も残されているのが現状です。
また、15年も経てば新たな問題は次から次へと発生します。そこでMDGsを発展させたのがSDGsになります。
MDGsから何が変わったのか?
SDGsは環境問題など、先進国も含む全世界で取り組むべき目標として策定されています。先進国主導のMDGsとは違い途上国の意見も反映させている点でMDGsとは異なっている部分も多いです。
ターゲットの数も8→17に増え、様々な問題をカバーしていることがわかります。
取り組むべき主体も、国や国連から民間企業や個人レベルでも取り組めるようになっている点でも世界が手を取り合って取り組んでいけるような目標に進化しています。
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